「都会の青春」 爽やかな風と 零れる光と 泡立つ水に 燦々ときらめく都会の青春 人ごみの中を 笑顔が颯爽と歩いてゆく 高い靴音とともに! にぎやかに 湧き立つ心 こわれてさんざめく噴水の 白銀の水滴 泡立つ水に 燦々ときらめく 都会の青春
詩4・・・「息吹」
「秋」
僕の思いは消えた 夏の輝きとともに 秋の奴が夏を滅ぼした 厳しき季節は消えた 夏の灼熱とともに 夜の静かな輝きが残った 啜り泣く風を もはや僕は愛さない 色の褪せた夕暮れの中に もはや静かな生命の僕が残った 夜の灯りが遠くしばだいている うらぶれた秋の夜だ 夜汽車の音が過ぎてゆく 物事の終わりは静寂だ ちろちろと零れる 遠くの灯りを見つめよう・・・ 詩5・・・「息吹」
「12月」
都会の夕暮れ アスファルトのうえを歩く 聳え立つビル群は 透き通った金色の明るさを格子から発している 青く濃き夕暮れ 霧靄のごとく夜の暗がりがあたりを覆い 静かに夕闇が押し迫る 都会の12月 夕暮れのアスファルトのうえを歩く -オマエハイツマデソウヤッテイルノダ- 一つの空が彼に言う
詩3・・・「息吹」
「旅への誘い」 現世での運命と義務にやつれ果てた心は 果てしもなき風と乾いた空の下で 圧迫するもののなき空間に 身をゆだねることを尊ぶ 道なき道を ふと見つけた草花を道標に 心赴くままに 直射する陽に濃く影を残し 忘却の彼方にある追憶と面影を携えて しかし なお友とともにあるように心強く しかし なお自由に 何もかも忘れ去り 乾いた風に身をゆだねることを尊ぶ ただただ歩くのだ てくてくと ふらふらと どこへ行こうと風が教えてくれる 現世のしがらみから解放された心 すべてが可能な心 幼児のごとき柔らかで純粋な心だけを携えて ただただ歩くのだ てくてくと ふらふらと どこへ行こうと 風が教えてくれる・・・
詩2・・・「息吹」
「都市の風」
都会の中を 歩きまわってぶらついて
あてどなく 身のやりばなく
すれちがう 人の面影に目をくばりつ
都会の中を 歩きまわってぶらついて
僕には 街の喧騒が心地よくなった
都会の人の 軽く飛びまわり交錯する声が
僕には涼やかなリズムを帯びた歌声に聞こえた
都会の中を 歩きまわってぶらついて
硬い踵の靴音 人の笑いごえも
僕にはそれが心地よい打楽器に聞こえた
都会の軽やかな風が好きだった
カフェでは
香ばしい香りとともに
窓の外を フリーウェイを音もなく車が走る
都市の様々な音は 偉大な振動音となり
意識に上らぬ吐息をしている
この軽快な空間を包んでいる
都会の中を 歩きまわってぶらついて
この都会の軽やかな風が好きだった